出世作、俗にいう“拳もの”“モンキー”シリーズ

ジャッキー・チェンという凄い人を、日本人が知るきっかけとなったのが、この俗にいう“拳もの”の“モンキー”シリーズです。ブルース・リーから始まりジャッキー人気をきっかけに、クンフー映画ブーム到来で、様々な役者さんのクンフー映画もテレビなどで放映されるようになりました。ジャッキーを一躍スターにした“モンキー”シリーズ4作品をご紹介。

クレージー・モンキー 笑拳

「クレージー・モンキー 笑拳」は、監督・脚本・主演・武術指導と初の1人4役をこなした作品。劇中の女装などの変相もあわせると、何役こなしているのか…と。80年度香港興行成績第1位。ロー・ウェイとの最後の完成映画です。
拳法に喜怒哀楽という人間の感情を取り入れた独特のアイデアはコミカルで、かなりインパクトの強いものでした。大笑いしながら闘うのですから。主題歌「クレージー・モンキー」が妙にファンキーでかっこいいですし。
最後の決闘で、倒れていたジャッキーが立ち上がってこの音楽が流れ出し、両手で顔をふさいで京劇張りに笑顔を見せるシーンは鳥肌ものです。また、喜怒哀楽というメリハリがついているので長い決闘シーンも飽きずに見れます。この頃ブームになった純粋なカンフー・アクションものとしては最後の作品とも言えるかもしれません。

笑拳怪招/Fearless Hyena/1979年/台湾・香港/豊年影業公司、羅維影業公司(グッドイヤー・ムービー、ロー・ウェイ・カンパニー)/1980年4月19日東映配給

製作:スー・リーホワ 監督/脚本/武術指導/主演:ジャッキー・チェン

キャスト:ヤン・サイクン/ジェームズ・ティエン/リー・クアン/ディーン・セキ

ドランク・モンキー 酔拳

日本初公開映画であり大ヒット映画の「ドランク・モンキー 酔拳」。日本のアニメやゲームなどに多大な影響を与えました。ジャッキーといえば酔拳でしょう。師匠役のユエン・シャオティエンの印象も強いです。今では当たり前?となった酔拳も、初めて日本で公開された時は衝撃的でした。酒を飲めば飲むほど強くなるのですから・・・。
お酒を飲めない年齢の頃から、清涼飲料水片手に酔ったふりをしたり胡桃を割る真似をしたり・・・流行りました。そんな経験を持つ人は多いのではないでしょうか。
それまでのヒーロー像を大きく覆した作品ではないかと思います。完全無欠なイメージのブルース・リーとは違った魅力で、格好悪いことの格好良さ、コミカルな格好良さを痛感した映画でした。ユニークなトレーニング・シーンも話題になりました。弱い主人公が独特のトレーニングを積んで強くなって悪漢を倒す・・・今ではカンフー映画としてありふれたストーリーも、この頃はたまらなくしびれました。もちろん、今見てもしびれるのですが・・・。
私も含めて多くの平凡な弱い人々にとって、勇気と希望を与えてくれる最高のヒーローだったと思います。主人公の黄飛鴻は、ジェット・リーの”ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ”シリーズなどでもお馴染みの高名な実在した武術家です。

酔拳/Drunken Master/Drunken Monkey in a Tiger’s Eye/Drunk Monkey/1978年/台湾・香港/思遠影業公司(シーゾナル・フィルム)/1979年7月21日東映配給

製作:ン・シーユエン 監督:ユエン・ウーピン 脚本:シャオ・ロン 撮影:チャン・ハイ

キャスト:ジャッキー・チェン/ホアン・チョンリー/ユエン・シャオティエン/ディーン・セキ

スネーキー・モンキー 蛇拳

日本公開”拳”シリーズでは第2弾となる「スネーキー・モンキー 蛇拳」のプロモーションでジャッキーは初来日しました。「酒」もいいけど「蛇」もなかなかです!
基本的なストーリーはジャッキー自身によるらしいです。他の2作品「酔拳」「笑拳」と比べると少しシリアスな面もありますが、コミカルなジャッキー・アクションの始まりだと思います。
酔拳と同じく師匠のユエン・シャオティエンがいい味を出しています。他の2作品と同じく、師匠によるトレーニングによって弱い主人公が強くなっていくのが最大の魅力で、今では日本、否、世界でもあまりに有名になった蛇の形を取り入れた拳法は、当時は本当に斬新でした。
この映画では、ジャッキーは撮影中に相手の刀で本当に腹部を切られてしまうという事故に遭ったようです。痛がるジャッキーをよそ目にカメラは回り続けたといいます。

蛇形刀手/Snake in The Eagle’s Shadow/The Eagle’s Shadow/Snaky Monkey/1978年/台湾・香港/思遠影業公司(シーゾナル・フィルム)/1979年11月17日東映配給

製作総指揮/脚本:ン・シーユエン 製作:チェン・チュアン 監督:ユエン・ウーピン 脚本:チョイ・カイクォン/ハイ・ワーオン 撮影:チャン・ホイ 美術:ディン・ユエンタイ 音楽:チョウ・フッリョン 衣装:クン・チャンカイ

キャスト:ジャッキー・チェン/ユエン・シャオティエン/ホアン・チョンリー/ディーン・セキ

カンニング・モンキー 天中拳

最後まで”虎の巻”を見ながら闘うという、ジャッキーが最初から最後まで半人前であまり強くない主人公という設定が珍しい作品。そんな半人前キャラクターが運を頼りに必死で頑張って闘う姿に、見てる側は共感が持てるのかもしれません。
しかしこの作品、後のジャッキーアクションのヒントがふんだんに盛り込まれている気がします。ジャッキーがチャールズ・チャップリンやハロルド・ロイド、バスター・キートンのサイレント映画を好んでいるのが頷けます。ジャッキーにとっては、後の作品への足掛かりになったのではないでしょうか。
この邦題もそうですが、日本公開時には日本の人気番組など時代の流行を意識した適当な字幕がつきました。当時はそんな字幕や邦題が多かったように思います。ただ、日本公開時の主題歌「カンニング・モンキー」はノリが良くて映画を引き立てていました。SHYというミュージシャンでしたが、実は「作詞:タケカワユキヒデ 作曲:ミッキー吉野」で、歌っているのもタケカワユキヒデっぽかったし、曲のアレンジもゴダイゴっぽいです。ジャッキーはこの映画で、コメディ要素を多く取り入れようと試みたようで、同時期の他の映画より、かなりコメディ色の強い映画となっています。ジョーク交じりに半人前主人公が奮闘するストーリーもバカバカしいと言えばそうですし、そのためか、ロー・ウェイはこの作品を気に入ってなかったようで、製作後、数年はお蔵入りになっていました。日本で公開されたのもジャッキー人気が高くなってからで「ヤング・マスター/師弟出馬」や「ドラゴンロード」の後。この頃はジャッキー人気も凄かったですが、同時にそれに乗っかった古い作品やB級映画も多かったです。

笑拳怪招/Fearless Hyena/1979年/台湾・香港/豊年影業公司、羅維影業公司(グッドイヤー・ムービー、ロー・ウェイ・カンパニー)/1980年4月19日東映配給

製作:スー・リーホワ 監督/脚本/武術指導/主演:ジャッキー・チェン

キャスト:ヤン・サイクン/ジェームズ・ティエン/リー・クアン/ディーン・セキ

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